TBSの企業価値向上を目指して

TBSの投資有価証券

TBSの資産総額に対する「政策保有株式」の割合を考えると、TBSは主力事業である放送事業の傍らで、実際には大規模なアセットマネジメント事業を経営しているようなものです。仮に、TBSがプロのアセットマネージャー、銀行、または保険会社と同等の義務を課されるとしたら、投資家、預金者または保険契約者のために金融資産を管理するという責務に照らし、善管注意義務および一般的なリスク管理規則等の違反に問われるでしょう。

プロのアセットマネージャーとして、ポートフォリオの35%を一つの投資案件(本件の東京エレクトロン)に集中させることは絶対に許されません。さらに悪いことに、TBSの「戦略的ポートフォリオ」はプロとして運営されていません。むしろ、同社のポートフォリオは何年も変わっておらず、一度たりとも収益性、自己資本利益率その他の客観的な金融指標の変化に合わせて調整されていません。「戦略的ポートフォリオ」に含めるか否かについて最も重要な判断基準は、「TBSとの古くからの繋がり」のようです。

TBSの一点集中型の「戦略的ポートフォリオ」は、あたかもギャンブラーがルーレット台のわずかなコマに持っているチップをすべて賭けてしまうようなものです。日本の株式市場に2008年のような反落が起これば、TBSはその局所的な「戦略的ポートフォリオ」のせいでいっそう膨らむ巨額の損失のあおりを直接受けることになります。将来株価の反落が起きたら、TBS経営陣は善管注意義務違反として株主に対する法的責任を免れないでしょう。本ポートフォリオを「構築」するにあたって、「戦略的」という言葉が過度に有利に解釈されているのではないでしょうか。

TBSの証券ポートフォリオは、同業他社との比較においても他に例を見ないほど大きいものです。激動する放送業界において、ある程度保守的なバランスシートは必要かもしれませんが、このような過剰な資本レベルを有する同業者はありません。これほどの割合で投資有価証券を資産として保有する必要性は見当たりません。